メニュー企画担当者、栄養士、調理人等を対象に、事業の主旨、「食事バランスガイド」の活用等による「日本型食生活」の実践など食育に関しての知識を習得してもらうための研修会を開催しました。
日 時 | 平成22年7月9日(金) 17:25~18:25 |
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会 場 | 新宿オペラシティタワー18F 職域食堂「グリーンズカフェ」 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー18F |
参加者 | 関東エリアの企業等の社員食堂、老人福祉施設で働く栄養士、調理師等 約80人 |
主 催 | おとどけシステム食育推進協議会 |
担 当 | 株式会社グリーンハウス、公益財団法人すこやか食生活協会 |
日 時 | 平成22年7月17日(土) 15:10~16:10 |
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会 場 | 株式会社名給 4階会議室 愛知県名古屋市熱田区新尾頭2-2-61 |
参加者 | 東海エリアの企業等の社員食堂で働く栄養士、調理師等 約90人 |
主 催 | おとどけシステム食育推進協議会 |
担 当 | 株式会社グリーンハウス、公益財団法人すこやか食生活協会 |
日 時 | 平成22年8月6日(金) 16:00~17:00 |
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会 場 | 大阪ビジネスパーク クリスタルタワー20階会議室 大阪府大阪市中央区城見1-2-27 |
参加者 | 近畿エリアの企業等の社員食堂で働く栄養士、調理師等 約50人 |
主 催 | おとどけシステム食育推進協議会 |
担 当 | 株式会社グリーンハウス、公益財団法人すこやか食生活協会 |
日 時 | 平成22年7月9日(金) 17:25~18:25 |
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講 師 | 高増 雅子 (日本女子大学 家政学部 准教授) |
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(1) 現代の食事
第二次大戦後、経済成長を含む我が国の社会情勢の変化を背景に畜産物や油脂などの摂取が増加し、昭和50 年ごろには、カロリー摂取量がほぼ満足すべき基準に達し、たんぱく質、脂肪、炭水化物のエネルギー比率のバランスがとれている等、いわゆる「日本型食生活」ともいうべき理想的な食生活を達成した。
その後は、脂質の消費が引き続き増加したことに加え、米の消費が減少し続けたことにより、脂質の摂り過ぎと炭水化物の摂取量の減少が顕著、不規則な食事の形態等食生活の乱れが生じた。
偏った食生活から、肥満や糖尿病等が若い世代にも及ぶようになり、心臓病、脳卒中、がんといった「生活習慣病」が増加した。健康寿命を延ばすため、また今後増大すると見込まれる医療費を抑制するためにも、食生活の改善が重要となる。
(2) 食生活の変化
日本の食料自給率が下がっている大きな原因 は、日本人の食生活が変わってきたことにある。
日本で自給できる「ごはん」を食べる量が減って、肉類などの畜産物や油脂類(サラダオイルなど)をよく食べるようになり、家畜のえさになるトウモロコシなどや油をしぼるための大豆などの輸入が非常に増えたことが、理由の一つになっている。
一方では、食べ残しや期限切れなどによって捨てられる食品の量が、年々増えており、それも大きな問題ともなっている。
(3) 栄養バランスに優れた「日本型食生活」
(4) 米食圏・非米食圏の比較
「高齢になっても、できる限り元気に過ごしたい。」という思いは国民共通の願いである。しかし、生活習慣病の増加等により、健康寿命の延伸が妨げられている。生活習慣病の主な疾患として、肥満、糖尿病、高血圧症、高脂血症が特に指摘され、これらが重なり合うと、心筋梗塞や脳梗塞等に直結しやすい病気になりやすく健康寿命も短くなる。
一般的に、心筋梗塞は欧米に多く、我が国ではこれまで少なかった。WHOの協力を得て行った調査では、お米を主食としている米食文化圏とそれ以外の非米食文化圏に区分し、心筋梗塞の死亡率を比較している。その結果、非米食文化圏が米食文化圏に比べて肥満も高脂血症も多く、心筋梗塞の死亡率は5 倍近く高いことが分かった。
我が国では、お米を中心とした食生活が行われてきた。このことが、我が国が世界一の寿命と健康寿命を誇っている一因と考えることができる。
しかし、最近の食生活の多様化等を背景に、肥満や高脂血症、メタボリックシンドロームの増加に伴い、心筋梗塞も増加傾向にある。このような中、国民一人ひとりが自らの食生活を見直し、健全な食生活を実践することが重要である。
(5) 日本型食生活とは
日本型食生活とは、米を主食に、魚介・野菜・豆類などを副食とした伝統的な食生活である。主食・主菜・副菜を整えることで栄養的バランスのとれた食事となる。
(6) 食生活指針
農林水産省、厚生省(現在厚生労働省)、文部省(現在文部科学省)は、国民の健康の増進、生活の質の向上及び食料の安定供給の確保を 目的として、平成12年3月に3省で共同して「食生活指針」を策定した。食生活指針は、これらの問題に対処し健全な食生活を実現するため、健康・栄養面はもちろんのこと、環境や食料の安定供給、食文化にいたる10項目からなっている。
食生活指針 |
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1.食事を楽しみましょう。 |
2.1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。 |
3.主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。 |
4.ごはんなどの穀類をしっかりと。 |
5.野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。 |
6.食塩や脂肪は控えめに。 |
7.適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。 |
8.食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。 |
9.調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。 |
10.自分の食生活を見直してみましょう。 |
(1) 「食事バランスガイド」作成の目的
(2) 「食事バランスガイド」の特徴
「食事バランスガイド」は、望ましい食生活についてのメッセージを示した「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるものとして、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安を分かりやすくイラストで示している。厚生労働省と農林水産省により平成17年6月に決定された。
(3) 主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の基準
食事の適量は性別、年齢、活動量によって異なる。食事バランスガイドのコマのイラストにある1日分の適量は、2200±200kcalを表しており、活動量が1「低い」成人男性、活動量が1「ふつう以上」の成人女性が該当する。
(4) ヒモ(菓子・嗜好飲料)の目安
菓子・嗜好飲料は食生活の中で楽しみとしてとらえられ、食事全体の中で適度にとる必要があることから、イラスト上ではコマを回すためのヒモとして表現し、「楽しく適度に」というメッセージがついている。1日200kcal 程度を目安にする。
(5) 食事摂取基準(2010 年版)による対象者特性別、料理区分における摂取の目安
性・年齢、身体活動レベルから見た1日に必要なエネルギー量と摂取の目安について、食事摂取基準(2010年版)に従い、変更した。身体活動レベルについては、「低い」「ふつう以上」の2区分とし、その説明は日本人の食事摂取基準の日常生活の内容との整合性を図った。
(6) 食事バランスガイドの利用実践例
40 歳男性会社員(デスクワーク)の1 日の食事を例に「食事バランスガイド」を活用したバランスのよい食事をとるアドバイスの仕方
(1) SV計計算の手順
(2) 複合的な料理の数え方
(1) 手順1:昨日1日の食事を「食事バランスチェック(作業用)」に書き出す。
(2) 手順2:実物料理カードを参考に、昨日の食事のSV計算をする。
(3) 手順3:「食事バランスガイド」コマに昨日の食事のSV数を塗る。
(4) 手順4:自己評価
(1) 主食、副菜、主菜の3つの料理で、バランスのよい食事を考える。
(2) 次に、食品のことを考えて、バランスのよい食事を考える。
(3) 次に、栄養素のことを考えて、バランスのよい食事を考える。
日 時 | 平成22年7月17日(土) 15:10~16:10 平成22年8月6日(金) 16:00~17:00 |
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講 師 | 今井 具子 (東海学園大学 人間健康学部 管理栄養学科 准教授) |
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日本は世界有数の長寿国だが、日本人であるから長生きなのではなく、食事の欧米化が進むなど食習慣が変わると生活習慣病にかかるリスクは高くなる。そこで注目されるのが、ごはんが主役の「日本型食生活」である。
日本型食生活とは、米を主食に、魚介・野菜・豆類などを副食とした伝統的な食事に肉類、牛乳などが適度に加わった食生活である。
お米は、炭水化物やたんぱく質、食物繊維などの栄養素が豊富で、ミネラルやビタミンの供給源にもなる。同じでんぷん食品のパンやじゃがいもに比べ、インスリンの分泌が低く、糖尿病の予防にもつながると考えられる。
他にもごはんが良い理由として、いろいろな料理に合うことがあげられる。肉も魚も食べる多様性の食べ方は、余暇活動、創作などの能力低下の相対危険率が低くなるというデータがある。また、米を主食としてきたからこそ、日本には郷土料理が豊かにある。
しかし、米の消費量は減り続けており、糖尿病患者も増加している。
また、食糧自給率も低下し、日本型食生活の名脇役である大豆も外国製が多くなっている。
このようなことを背景として、健康・栄養面はもちろん、環境や食料の安定供給、食文化に至るまでの諸事情を考慮して、健全な食生活を実現するため「食事バランスガイド」は誕生した。
「食事バランスガイド」は、2005年6月に、食事の目安となるツールとしてできた。日本人の食事に合わせて、主食・副菜・主菜を中心に組み合わせており、「なにを」「どれだけ」食べたらいいのかを料理で示している。
主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つの料理グループは、しっかり食べてほしい順にコマの上から配置されている。「いくつ」の基準は、料理グループごとに決まっている。
コマの回転はしっかり体を動かすこと、軸は水やお茶を表しており、コマを回すには食事だけでなく、これらも大切であることを示している。お菓子・嗜好飲料は食事の楽しみとしてとらえ、食事全体の量的なバランスを考え、適度に摂取する必要があることから、コマを回すためのヒモとして表現し、楽しく適度にというメッセージが付いている。お菓子・嗜好飲料は、1日200kcal程度が目安となっている。
「食事バランスガイド」は1日ごとに数えるが、3~5日程度で過不足がないよう調整できればよい。
1日に必要なエネルギーと食事量の目安は、性別、年齢、活動量で決まる。
自分に合ったコマを選べているかは、2週間から1か月程度の体重・体調の変化から自己チェックできる。
【食事バランスガイドの利用の基本】