平成22年度 食育実践活動推進事業の取組内容

(株)ニチレイフーズの取組

開催概要

食事の宅配事業に関係する宅配メニュー企画担当者、栄養士、調理人、ケアマネージャー等を対象に、事業の主旨、「食事バランスガイド」の活用等による「日本型食生活」の実践など食育に関する知識を習得してもらうための研修会を開催しました。

(株)ニチレイフーズ「食育研修会」
日 時 平成22年7月20日(火) 18:30~20:30
会 場 ティーズ銀座(貸し会議室) 東京都中央区銀座5-5-14 GINZA GATES 10F
参加者 栄養士・管理栄養士他 約30人
主 催 おとどけシステム食育推進協議会
担 当 株式会社ニチレイフーズ、公益財団法人すこやか食生活協会
日 時 平成22年7月23日(金) 18:30~20:30
会 場 タカクラホテル福岡 福岡県福岡市中央区渡辺通2-7-21
参加者 ケアマネージャー他 約20人
主 催 おとどけシステム食育推進協議会
担 当 株式会社ニチレイフーズ、公益財団法人すこやか食生活協会

講義内容

講義1:高齢者の食生活と健康

日 時 平成22年7月20日(火)・7月23日(金) 18:30~19:30
講 師 柴田博(人間総合科学大学大学院 教授、日本応用老年学会 理事長)

内 容

(1) 「高齢者の健康」は、「中年までの健康」とは異なり、少々病気にかかっていても、「生活機能における自立」があれば健康と考える。これは、WHO(世界保健機関)の提言で定義されている。
高齢者の通常意識する生活機能は「身体的自立」である。一人で歩けるか、食べられるか、トイレに行けるか、衣服を脱いだりできるかということが指標になる。これをADL(activity of daily living)と言う。このレベルで人の世話にならなければ生活できない高齢者が「障害老人」または「要介護老人」ということになる。

(2) ADLの指標で障害がない大多数の人々の中にもいろいろな能力の段階があり、東京都老人総合研究所では、13 段階に分けた「老研式活動能力指標」の物差しを作った。これを老人の健康診断に使っている。
1~5(緑)は、身体的能力を測定する指標で、手段的自立をしているかどうかを見る。6~9(赤)は、知的能動性(好奇心)があるかどうかを見る。10~13(青)は、社会的役割を果たす能力があるかどうかを見る。老化によりこの指標の高い方からだんだん落ちてくる。だから、高い段階でくい止めなければならない。

老研式活動能力指標
1.バスや電車を使って一人で外出できますか。 はい  いいえ
2.日用品の買い物ができますか。 はい  いいえ
3.自分で食事の用意ができますか。 はい  いいえ
4.請求書の支払ができますか。 はい  いいえ
5.銀行預金・郵便貯金の出し入れができますか。 はい  いいえ
6.年金などの書類が書けますか。 はい  いいえ
7.新聞を読んでいますか。 はい  いいえ
8.本や雑誌を読んでいますか。 はい  いいえ
9.健康についての記事や番組に関心がありますか。 はい  いいえ
10.友だちの家を訪ねることがありますか。 はい  いいえ
11.家族や友だちの相談に乗ることがありますか。 はい  いいえ
12.病人を見舞うことができますか。 はい  いいえ
13.若い人に自分から話しかけることがありますか。 はい  いいえ

(3) 老化防止のための食生活のあり方として、食品摂取の多様性が高いほど長生きする。食品摂取の多様性を高める観点から食生活を評価する「食品摂取の多様性得点の算出方法」がある。それは、主食、淡色野菜を除く食品10品目について毎日食べていると各1点、食べていない場合は0点、最大は10点と数える算出方法である。世田谷地域で5点、全国平均で3~5点で、若い女性はもっと低い点と予想される。

食品摂取の多様性得点の算出方法

(4) 食品の多様性が保たれている人は、背景に単純な意味での食の栄養だけではなく、対人交流、共食というような機会が多く、知的な刺激を受けているというようなこともある。

(5) 低栄養予防の食生活指針14か条

1.3食のバランスをよくとり、欠食は絶対避ける
2.動物性たんぱく質を十分にとる
3.魚と肉の摂取は1:1の割合に
4.様々な種類の肉を食べる
5.油脂類を十分に摂取する
6.牛乳を毎日飲む
7.緑黄色野菜や根野菜など多種類の野菜を食べる。火を通し量を確保
8.食欲がない時はおかずを先に食べごはんを残す
9.調理法や保存法に習熟する
10.酢、香辛料、香り野菜を十分に取り入れる
11.和風、中華、洋風と様々な料理を取り入れる
12.共食の機会を豊富につくる
13.かむ力を維持するため義歯は定期的に検査をうける
14.健康情報を積極的に取り入れる
(熊谷 修:高齢期の食事.日本医事新報4139, 94, 2003)
(柴田 博 2010)

講義2:食事バランスガイドを使って健康に ~高齢者の食卓と「気くばり御膳」~

講 師 平成22年7月20日(火) 19:45~20:00 佐藤 祐子((株)ニチレイフーズ管理栄養士)
平成22年7月23日(金) 19:45~20:00 武永 早苗((株)ニチレイフーズ特販営業部長)

内 容

(1) 高齢者世帯の食の営みパターン(生活者調査の結果より)
1)、3)、5)の食事例を挙げて説明した。

1)多品目の食材を食べている例
2)野菜は食べているが、脂質・たんぱく質などが少なく、バランスの悪い低栄養傾向の例
3)毎日同じメニューを続けて食べざるを得ない例
4)バランスを考えるあまり、サプリメントを多用する例
5)品目数が極端に少ない例
6)ストックの例

(2) (株)ニチレイフーズの宅配弁当「気くばり御膳」(自家製ハンバーグのデミグラスソース仕立てセット)+ご飯200g を「食事バランスガイド」のSV表示をして説明した。

「気くばり御膳」(自家製ハンバーグのデミグラスソース仕立てセット)+ご飯
■ 自家製ハンバーグのデミグラスソース 約80g、
  付け合わせ ほうれん草・人参・スイートコーン 約50g
■ オムレツ 約30g、付け合わせ なすのソテー 約20g
■ マッシュポテト 約20g・ブロッコリー 約20g
■ ご飯200g
( 主食2SV、副菜2SV、主菜3SV、エネルギー665kcal、食塩相当量2.3g )

(3) 「気くばり御膳」を取り入れた1日の食事例
朝食(パン食)+昼食(麺類)+夕食(「気くばり御膳」)
「気くばり御膳」を取り入れると、副菜・主菜がしっかりとれてバランスのよい食事になる。
また、どんな食事を組み合わせたらよいか、具体的な説明をした。

「気くばり御膳」を取り入れた食事例 (1)

「気くばり御膳」は、(株)ニチレイフーズの商標です。
写真提供: (株)ニチレイフーズ

講義3:「食事バランスガイド」を参考にした日本型食生活の実践

日 時 平成22年7月20日(火)・7月23日(金) 20:00~20:30
講 師 加藤 智子((公財)すこやか食生活協会)

内 容

1.「日本型食生活」とは

(1) 現代の食事

昭和40年度と平成17年度の食生活の変化を比較してみると、米の消費量が減り、油脂・肉類などが増えて欧米型の食生活に移行している。

食生活の変化(1人1年間の消費量)

(2) 栄養バランスに優れた「日本型食生活」

近年、ライフスタイルなどの多様化に伴い、食生活は大きく変化してきた。平成17年度の食事の栄養バランス(PFCバランス)を望ましい姿と比べると、炭水化物の摂取が少なく、たんぱく質と脂質の摂取が多くバランスがとれていない。しかし、昭和55年度の食事の栄養バランス(PFCバランス)は、ごはんを主食としてしっかり食べ、大豆、魚、野菜等の摂取に肉類や牛乳・乳製品などの多様な副食が加わって栄養バランスのよい食生活が形成されていた。この頃の日本人の平均的な食生活を「日本型食生活」と呼んでいる。
今後、栄養バランスに優れた「日本型食生活」を実践することが重要である。

「食事バランスガイド」の活用

日本型食生活とは、我が国の気候風土に適した米を中心に水産物、畜産物、野菜等多様な副食から構成され、栄養バランスが優れた食生活をいう。
(「平成20年度版食料・農業・農村白書」より)

2.「食事バランスガイド」の活用に向けて

(1) 「食事バランスガイド」の誕生の背景

(2) 「食事バランスガイド」の特徴

(3) 対象者別の料理理区分における摂取の目安、「なにを」「どれだけ食べたらよいか」

(4) 料理のSVの計算方法(材料の重さから算出する場合、1食分のSV数の計算、弁当のSV数の計算等)と表示方法

(5) 「食事バランスガイド」の活用 ~バランスよく食事をとるには~

食事バランスガイド