1.協会の理念と目標
人はみんな健康で元気に生きたいと願っており、これを実現できるよう応援したいものです。
一方、食べることは生きること、生きる基本は食にあり、と言われるように、食は人間生存の根本です。すこやかな心身形成の出発点でもあります。ですから、毎日の食生活は大切です。誰もが、正しい知識と情報をもとに、自立してしっかりとした食生活を営むことが望ましいと思います。しかし、目から情報を得られない視覚障害者などは、日常の食生活に大きなハンディを負っていますし、老いが進み、感覚など体の機能が衰えた高齢者もそれに近いものがあるでしょう。
すこやか食生活協会は、1984年に発足して以来、こうしたハンディを抱えがちな人々の食生活の改善に貢献するという理念のもとに、次のような活動を続けています。
第1は、情報収集でハンディを抱える視覚障害者などに対し、音声、点字、大活字などを駆使し、正確で、実用性の高い食生活情報を提供する活動です。
第2は、視覚障害者などが、自ら料理作りをするなどして自立した食生活を営めるよう、行動環境の「バリアフリー化」あるいは「ユニバーサルデザイン」への流れを促す活動です。
第3は、食育の推進です。2005年に食育基本法が制定され、国を挙げて「食育」運動が展開されており、当協会も、食品企業・団体と連携して高齢者などを対象にした「食育」の推進に努めています。
今後とも、人はみんな健康で元気に生きられるように応援したいという理念のもとに、諸活動を推進して参ります。多くの方々のご理解とご支援を願ってやみません。
2.協会の活動
(1)視覚障害者・高齢者などへの食生活に関する知識と情報の提供
①月刊「声の食生活情報」(1985年4月創刊)
視覚障害者に対し、食生活に関する知識と情報を録音したカセットテープとデイジー対応のCDを毎月無償で提供しています。その内容は、日々の食生活を豊かにする健康、栄養、食の話題、食文化などの知識と情報を網羅しています。送付対象は、視覚障害者個人の方や全国の点字図書館、盲学校、盲人援護施設、社会福祉協議会など約1500か所です。送付した施設からの貸出しなどでさらに多くの方々にご利用いただいています。
また、当協会の活動を広く認識していただくために、当協会のホームページからも音声提供しています。さらに、音声データサービスの「サピエ図書館」でも利用いただけるようになっています。この録音、発送などの作業は、ボランティアの方々に支えられています。
[(公財)飯島藤十郎記念食品科学振興財団助成事業]
[(一社)日本フードサービス協会助成事業]
②随時提供する食生活情報
視覚障害者に対し、特定のテーマによる食生活改善のために知識と情報をCDなどにより提供しています。
[日清製粉グループ本社助成事業]
[山崎製パン株式会社助成事業]
③ホームページによる食生活情報の提供
ホームページ「すこやか食生活ネット」では、毎日の食事の献立のヒントとなるレシピを多数紹介しています。料理の写真が掲載されており、作り方を音声で聴くことができます。また、月刊「声の食生活情報」の過去1年分のバックナンバーを聴くことができます。さらに、当協会が作成した各種の資料や実施中の事業の紹介など、食生活に関する様々な情報の提供を行っています。
ホームページ「すこやか食生活ネット」
URL:http://www.sukoyakanet.or.jp
(2)視覚障害者・高齢者の食生活環境のバリアフリー化の推進
視覚障害者や高齢者でも、自ら「買い」「使い」あるいは「料理して」食生活を営めるよう、食の「バリアフリー化」への流れを促す活動を進めています。
①牛乳パックの切り欠き
当協会の提唱により、目の不自由な方々にも牛乳を100%使用した「牛乳」とその他の飲料を区別できるよう、500ml以上の屋根型紙パック牛乳の頂上部に、半円形の切り欠き(くぼみ)がついています。
②視覚障害者向けの調理参考書の作成
視覚障害者が自立したより良い食生活を営むための実践の手引きとして、大活字に透明点字を載せ音声コードを付けた料理レシピ集「江上栄子さんの家庭の健康料理教えます」、「電子レンジで簡単料理」、「手軽なごはん・パン・麺料理」、「みんなでミートクッキング」などを作成し、全国の視覚障害者個人の方や点字図書館、社会福祉協議会などに無償で配布し、盲学校の授業などにも活用されています。
[(一財)日本宝くじ協会助成事業]
[(公社)日本食肉協議会助成事業]
(3)食育の推進
①シニア世代のための食育セミナーの開催
シニア本人と家族、地域社会、食に係わる企業・団体が分担・連携して、シニア世代の食生活に関する課題に対応し、食生活環境を改善するため、様々な食に関する知識・手法を各分野の専門家から紹介いただく市民講座を開催しています。
②視覚障害者や高齢者を対象にした料理教室の開催
高齢者の健康を維持する上で、動物性たんぱく質の摂取不足が大きな課題となっています。このため、視覚障害者や高齢者を対象に、食肉や牛乳・乳製品を使ったバラエティーに富んだメニューの料理教室を開催しています。
また、視覚障害者を対象に、買い置きしやすく簡便に作れる即席めんを使い、野菜や海草などと組み合わせた栄養バランスの良いメニューの料理教室を開催しています。
[(公社)日本食肉協議会助成事業][関東生乳販売農業協同組合連合会助成事業]
[日清食品ホールディングス株式会社協力事業]
[(一社)日本即席食品工業協会協力事業]
③シニア世代のための食育ワークショップの開催
外食店などの協力を得て、シニア世代における望ましい食事摂取のあり方に関する学習会にバランスの取れた料理の試食会を組み合わせた食育ワークショップを開催しています。
また、シニア世代が健康長寿に取組むための手引きとして、読みやすいカラー冊子「シニア世代 健康長寿のための食生活のすすめ」を作成し、関係者へ配布しています。