でん粉は、ほとんどの植物に存在しています。というのも、でん粉は、植物の光合成によって作られるからです。根、幹、種実などに蓄えられ、エネルギー源として生命を支えています。
私たちがでん粉をとるために利用している植物は、穀類では、とうもろこし、小麦、米、こうりゃん、いも類では、馬鈴薯、甘しょ、タピオカなどがあります。
日本では、とうもろこしから作られるコーンスターチの利用が大部分です。ついで馬鈴薯でん粉、甘しょでん粉、小麦でん粉となっています。またわずかですが、葛でん粉、ライススターチなどもつくられています。
でん粉の利用範囲は、極めて多岐にわたっています。食用としての利用のほか、医薬品や工業用のノリやインクなどにも使われています。また、でん粉を分解すれば糖分になるため、水あめ、ぶどう糖、液糖、果糖などに加工され、菓子類や清涼飲料の甘味料などにも利用されています。
生産量は、平成16年でん粉年度で、およそ310万トンですが、おおむね7割が食用に利用されています。
ところで、近年、でん粉からつくられる機能性を持つ食品素材が続々と登場しています。低カロリー甘味料のソルビトールやマルチトール、エリスリトール、整腸作用のあるオリゴ糖・食物繊維、臭いや味を包み込むサイクロデキストリンなどです。
また、食品分野以外では、でん粉を利用した環境にやさしいプラスチック・緩衝材などの開発も進められています。さらに、植木鉢ポットなどの園芸用品、アウトドアなどで使用するナイフ・フォーク・スプーン・皿などの一部は商品化されています。
用途の幅広いでん粉ですが、環境に優しい素材として、今後さらに利用分野が広がって行くことが期待されています。