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第3章 野菜の栄養素と機能性成分 前編

私たちは、さまざまな食品を食べて栄養源とし、活動しています。栄養素の主なものは、炭水化物、たんぱく質、脂肪のほか、ビタミンやミネラルなどです。野菜は、このビタミンやミネラルを供給するための重要な食材です。

また、野菜は、現在の日本で大きな問題となっているガンをはじめとする生活習慣病の予防に効果がある機能性成分を含むことがわかっています。

1.野菜に含まれるビタミンとミネラル

まずは野菜に含まれるビタミンの種類からです。

●ビタミンA
ビタミンAは、眼の働き、粘膜の保護、発育に必要なビタミンです。
野菜には、体内でビタミンAに変わるプロビタミンA、つまりβ‐カロテン、α‐カロテン、γ‐カロテン、クリプトキサンチンなどが含まれています。特に緑黄色野菜は、β‐カロテンを豊富に含んでいます。カロテンは、油に溶ける成分なので、油と一緒に調理をすると、吸収が促進されます。
ビタミンAの多い野菜は、しそ、モロヘイヤ、にんじんなどです。
●ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変換するのに必要なビタミンです。人の運動機能に関係し、疲労回復や集中力を高める効果があります。ビタミンB1が不足すると、食欲減退、消化障害、イライラしやすくなるといわれ、また脚気になります。
ビタミンB1の多い野菜は、グリーンピース、えだまめ、そらまめなどの豆類です。
●葉酸
葉酸は、ビタミンB群の仲間です。細胞の形成に必要で、核酸やたんぱく質の合成にかかわります。また、血を造ります。不足すると、貧血、潰瘍、口内炎などの症状が出やすくなります。特に、妊娠中、授乳中は多くの葉酸が必要です。
葉酸の多い野菜は、なばな、えだまめ、モロヘイヤなどです。葉酸は、光に当たると破壊されやすいので、日光をさけて保存しましょう。
●ビタミンC
ビタミンCは、体内の物質の代謝や、コラーゲンの生成と保持などの働きをし、体の抵抗力を高めるので、風邪の予防や治療にも役立ちます。ビタミンCが欠乏すると、壊血病、歯茎からの出血、皮下出血などがみられます。
ビタミンCの多い野菜は、ピーマン、めキャベツ、ブロッコリーなどです。野菜のビタミンCは、一般に時間がたつにつれて徐々に失われていきます。また、水溶性なので水に溶け出したり、加熱により一部分解したりします。そのため、水に長くさらさないようにし、また煮込み料理で煮汁を上手に利用するとよいでしょう。
●ビタミンK
ビタミンKは、血液の凝固に関与しています。不足すると出血した時に血が止まりにくくなります。また、カルシウムとともに骨の形成にも関与しています。
ビタミンKは、数種類ありますが、野菜に多く含まれるのはフィロキノンと呼ばれるもので、パセリ、しそ、えんどうの芽のとうみょうなどに多く含まれています。

つぎは野菜に含まれるミネラルの種類です。

●カルシウム
カルシウムの99%は、骨や歯に存在し、残りの1%が血液中に存在しています。カルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶け出します。これが何年も続くと、女性に多いといわれる骨粗鬆症につながります。
また、カルシウムには、神経の興奮を抑える働きもあります。よく「カルシウム不足でキレやすくなる」などといわれますが、それは、この作用を指しています。そのほかにも、カルシウムは血液凝固、筋肉の収縮作用などに関与しています。
カルシウムの多い野菜は、とうがらし、パセリ、だいこんの葉などです。なお、カルシウムの吸収率とビタミンDには密接な関係があることから、ビタミンDの多い魚介類やきのこ類と一緒にとるとよいでしょう。
●カリウム
カリウムは、ナトリウムとともに細胞の浸透圧や細胞の活性に関係しており、カリウムが不足すると、細胞の活性が低下することが知られています。
食塩のとり過ぎは血圧を上昇させますが、カリウムにはナトリウムの排出を促進する働きがあるので、高血圧の予防に効果があります。また、利尿作用もあります。
カリウムを豊富に含む野菜は、パセリ、とうがらし、ほうれんそうなどです。
●鉄
鉄は、血液中のヘモグロビンの成分で、酸素を体中に運ぶのに不可欠です。鉄が不足すると、鉄欠乏性の貧血になります。
鉄は緑黄色野菜に豊富に含まれています。貧血になると、「ほうれんそうやレバーをとりなさい」とよくいわれます。これは、鉄はもともと吸収率の高いミネラルではありませんが、たんぱく質やビタミンCと一緒にとると、吸収率が高くなるからです。野菜にはビタミンCも豊富に含まれているので、鉄の摂取には効果的です。
鉄を豊富に含む野菜は、パセリ、だいこんの葉、こまつななどです。

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制作/(財)すこやか食生活協会