1日に「何を」「どれだけ」食べればよいか、その目安を示してくれるのが「食事バランスガイド」です。「食事バランスガイド」を参考にすることによって、あなたにとって適量で栄養バランスのよい食生活を営むことができます。
「何を」は、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つの料理区分で示し、「どれだけ」は、1日の目安をそれぞれの料理区分ごとに1つ、2つと「~つ(SV)」で数えます。(SVとはサービング(食事の提供量)の略です。)
1日の食事量の目安は、性別・年齢・身体活動量によって違います。
「食事バランスガイド」を使って、自分の適量を把握してみましょう。
注意
「食事バランスガイド」は、原則として健康な方を対象に作られたものです。糖尿病や高血圧などで、医師や管理栄養士の指導を受けている人は、その指示に従ってください。
こちらも参考に
朝、昼、晩の3食をとおしてバランスをよくするために、たとえば昼食に外食や食堂を利用する場合は、主食、副菜、主菜がそろった「定食」がおすすめです。不足しがちな野菜の小鉢をプラスすれば、さらにバランスはよくなります。麺類の場合は単品で済ませがちですが、野菜や豆腐の小鉢、ヨーグルトや果物を足すとよいでしょう。
朝食を食べる時間がありません。バランスのよい食事にするにはどうしたらいいですか?
食事の回数が少ないと、体はエネルギー消費を節約するようになり、太りやすくやせにくい体質になってしまいます。また、全体的に食べる量が少ないので、エネルギーはもちろんビタミン・ミネラル類も不足しがちです。まずは朝食に、手軽に食べられる牛乳やヨーグルトなどの乳製品、果物などを口にする習慣をつけましょう。朝食の量が少なかったときは、午前中の間食で、おにぎりや野菜ジュース、栄養補助食品などで、栄養補給しましょう。昼食は、不足しがちなおかず(主菜)や野菜(副菜)をとることができる定食がおすすめです。
朝食抜きタイプさんの1日のモデルメニュー | |
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朝食 |
牛乳・乳製品1つ、果物1つ |
間食 |
主食2つ、副菜1つ |
昼食 |
主食2つ、副菜2つ、主菜3つ、牛乳・乳製品1つ |
間食 |
果物1つ |
夕食 |
主食2つ、副菜3つ、主菜2つ |
1日合計 |
主食6つ、副菜6つ、主菜5つ、牛乳・乳製品2つ、果物2つ
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写真提供: (株)グリーンハウス
夕食がどうしても遅くなってしまいます。太らないようにするには、どうしたらいいですか?
夜遅い食事は体脂肪になりやすいですが、食事のバランスと量に気をつければ極端に太ることはありません。ただ、夕食後は活動量が少ないので、ごはん、パン、麺類などの炭水化物に偏った食事や、油を多く含む料理、甘いものはどうしても体脂肪に直結してしまいます。遅い食事になる場合は食べ過ぎに注意し、次のように食べ方を工夫することが大切です。これらは夕食だけでなく、朝食、昼食の食べすぎ防止にも有効です。試してみましょう。
夜遅い食事をとる時の工夫のしかた
野菜と汁物を先に食べる
同じ食事内容でも、食べる順番によって太りにくくする工夫ができます。サラダ、お浸しなど野菜のおかず(副菜)から先に食べましょう。野菜に含まれる食物繊維が、糖分や脂肪分の吸収を抑え、また、噛む回数が増えることで満腹中枢が刺激されます。野菜や海藻類などのかさの多い料理や、体を温める汁物は満足感を与えてくれるので、食べすぎを防止することができます。豚汁、けんちん汁、ミネストローネなど、野菜がたっぷり入った汁物がおすすめです。
噛む回数を増やす
満足感を得るためには、噛む回数を増やすのもポイントです。食べ始めは、空腹感で噛む回数が少なくどんどん食べてしまうので、意識してよく噛み、ゆっくり食べて腹八分目に控えましょう。ご飯を玄米や雑穀ごはんにすると、噛み応えが増すのでおすすめです。
食後のデザートはちょっぴり我慢
食後はケーキやアイスなど甘いものが恋しくなりますが、寝る前のデザートは太るもと。寝る前はちょっぴり我慢して、昼食と夕食の間に食べるようにしましょう。
夜遅い食事の時は、こんな工夫も
簡単な朝食でもきちんと食べる
夜遅い食事は胃に負担をかけるので、朝起きたとき食欲がない場合がありますが、シリアルに牛乳+果物+ゆで卵など簡単な朝食で栄養を補給しましょう。
昼食でしっかり栄養補給
昼食に重点を置き、夕食は軽くすませるといいでしょう。どうしても豪華になりがちな夕食を軽くすると、食べ過ぎを防ぐだけでなく、胃にもやさしいです。昼食は主食、副菜、主菜がそろった定食がおすすめです。
夜型タイプさんの1日のモデルメニュー | |
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朝食 |
主食1つ、主菜1つ、牛乳・乳製品0.5つ、果物1つ |
間食 |
牛乳・乳製品1つ |
昼食 |
主食2つ、副菜2つ、主菜3つ、牛乳・乳製品0.5つ、果物0.5つ |
間食 |
主食1つ、副菜2つ、主菜1つ |
夕食 |
主食2つ、副菜2つ |
1日合計 |
主食6つ、副菜6つ、主菜5つ、牛乳・乳製品2つ、果物1.5つ
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写真提供: (株)グリーンハウス
*ヒント! 食物繊維
人の消化酵素では消化されにくい食物繊維は、消化が遅く、よく噛む必要があるため、食べ過ぎや過度の食欲を抑える効果があり、肥満予防にもつながります。また、コレステロール値を下げる働きもあるため、動脈硬化や他の生活習慣病の予防にも役立ち、健康的なダイエットに欠かせない成分として注目されています。
食物繊維には、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」と水に溶けやすい「水溶性食物繊維」の2つのタイプがあります。
不溶性食物繊維
水分を吸い腸内の有害物質を体外に排出する働きがあり、また便の容積を増やし排便を促します。
⇒ 効果/便秘症や大腸憩室症、大腸がんの予防
水溶性食物繊維
糖分の吸収速度を緩やかにし、食後の血糖値が上昇しないように抑えます。
⇒ 効果/糖尿病の予防や改善、肥満、脂質異常症、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病の予防
食物繊維の多い食べ物(100g 中の含有量) | |
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穀類 | 大麦(押麦)9.6g、玄米3.0g |
豆類 | だいず(乾)17.1g、おから9.7g |
海藻類 | かんてん(乾)74.1g、ひじき(乾)43.3g |
芋類 | さつまいも3.5g、こんにゃく2.2g |
きのこ類 | きくらげ(乾)57.4g、エリンギ4.3g |
野菜類 | かんぴょう(乾)30.1g、切干大根(乾)20.7g、ごぼう6.1g |
果物類 | 干し柿14g、ブルーベリー3.3g、西洋なし1.9g |
仕事上、お酒を飲む機会をなかなか減らせません。1日の食事をバランスよくとるにはどうすればいいですか?
飲み会の予定が決まっている時は、昼食に夕食で食べられないものを選んだり、量を調整します。例えば、カロリーを控えめにするために、けんちんうどんやヘルシーメニューを選ぶとよいでしょう。さらに、居酒屋さんではとりにくい乳製品や果物をプラスすると、1日のバランスがよくなります。飲む機会が多いとエネルギーオーバーになりやすいので、間食は控えましょう。
飲酒の機会が多いタイプさんの1日のモデルメニュー | |
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朝食 |
主食1つ、主菜1つ、果物1つ |
間食 |
牛乳・乳製品0.5つ |
昼食 |
主食2つ、副菜4つ、主菜2つ、牛乳・乳製品0.5つ |
夕食 |
主食2つ、副菜2つ、主菜2つ、牛乳・乳製品1つ |
1日合計 |
主食5つ、副菜6つ、主菜5つ、牛乳・乳製品2つ、果物1つ
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写真提供: (株)グリーンハウス
おつまみ
肝臓の機能を助けるおつまみ
お酒のおつまみは肝臓にやさしいものを選ぶといいですね。肝臓の機能を助けるおつまみには、以下のようなものがあります。
何かを食べてから飲むほうが胃の粘膜を保護してくれるので、食べ過ぎない程度におつまみを上手に選びましょう。
お酒の後のラーメンに注意
夜遅くに油を使った料理や、炭水化物(チャーハンやめん類、丼など)を食べ過ぎると、消費できなかった分は脂肪として体に蓄積してしまいます。お酒の後のラーメンは要注意です!!
野菜不足が気になります。どうすれば野菜をたくさん食べられますか?
ビタミン・ミネラル・食物繊維など、野菜には健康を保つために欠かせない成分がたくさん含まれています。「野菜を食べよう」という意識を持ち、野菜不足を解消しましょう。
1日に必要な量は「食事バランスガイド」では副菜5~7つです。きんぴら(1つ)、お浸し(1つ)、和え物(1つ)、サラダ(1つ)、煮もの(2つ)などの野菜、きのこ、いも、海藻類の小鉢5~6品が目安です。以下の点に注意して野菜をとるように心がけましょう。
朝ごはんを見直す
野菜不足の原因のひとつに朝食抜きがあります。また、食べていてもパンとコーヒーだけの朝食ではやはり野菜が足りません。サラダ、スープ、具だくさん味噌汁、野菜ジュースなど、一品でも野菜を食べるよう心がけましょう。
外食は野菜のおかずをプラス一品
食事を選ぶときは、サイドディッシュに野菜料理をプラスしましょう。
それでも足りないときは野菜ジュースを
野菜ジュースの場合、食物繊維や栄養の一部が失われますが、ビタミン、ミネラルの補給には役立ちます。野菜不足を感じたら補助的にいただくのもよいでしょう。
「食事バランスガイド」では、野菜ジュース(100%)1パック(約200ml)は副菜1つ分です。
こちらも参考に
塩分をとり過ぎない調理法を教えてください。
塩分を長期間とり過ぎると、高血圧や脳卒中、心臓病など生活習慣病のリスクが高まるといわれます。食塩は、1日あたり、男性9グラム未満、女性7.5グラム未満を目安として摂取するように心がけましょう。料理の中でも塩分を控える方法はたくさんありますので、次のような方法を参考にしましょう。
塩分を控えた調理法・食べ方
塩味以外の味を利用
レモン・ゆず・カボス・すだちなどの果実の酸味、ハーブ・香味野菜・香辛料などを利用することで、塩味のもの足りなさを補います。また、和え物にゴマやピーナッツ、クルミなどを加えると風味がまして塩分が少なくてすみます。
味を表面に付ける
味を素材の表面に付けると味がすぐ伝わり、塩分が少なくてすみます。とんかつのソースは直接かけないで小皿にとりましょう。また、煮込み料理も調味料を最後に入れて薄味に。長時間煮込み過ぎると、塩分が強くなります。
適量の油を利用して減塩
油のコクで薄味でもおいしく感じられます。軽く炒めたり、ごま油やオリーブ油を食べる前にかけてみましょう。ただし、油は高カロリーなので適量を。
味噌汁は「だし」を効かせる
味噌汁はかつおぶし、昆布、煮干しでとった「だし」を効かせると薄味でおいしく食べられます。顆粒の「だし」には塩分が含まれますので、使い過ぎには注意しましょう。また、味噌汁は具だくさんにすると汁量が少ないので減塩になります。
新しい旬の食材を利用
おいしい旬の食材を利用すると新鮮な風味・香りでおいしく食べられます。
ラーメンなどの汁は残す
麺類のスープは塩分を多く含むので、全部飲まず、残すようにしましょう。
1回の食事でも、料理の味付けの異なるものを組み合わせる
たとえば、同じ煮物ばかりの料理よりも、「煮物・酢の物・お浸し」のように味付けの違うものを組み合わせることで塩分を抑えられます。さらに、塩分の多い加工食品を使いすぎないこともポイントです。日頃から素材そのものの味を楽しむようにして、健康的な食生活を送りましょう。
栄養バランスに気をつけましょうといわれますが、何を目安にすればよいですか?